人間社会にとって必要欠くべからざるプログラムというのがある。金融系のシステムなどまさにそうだが、それは止まることによって人を不幸にすることはあっても、動くことによって人を幸せにすることはない。一方、人間社会にとってなくてもいいようなプログラムもあって、それは止まっても人を不幸にはしないが、動くことによって人を幸せにする。それはある種の芸術作品のようなものであって、例えば美しいガラス細工は、仮に床に落ちて砕け散っても一瞬人々を悲しませるだけで彼らの生活を根底から脅かしたりはしない。しかし存在し輝きを放つだけで人々を幸せにする。前者のプログラムは、まさに産業機械の歯車そのものであり、それが止まることによって人々は致命的な打撃を受けるが、その鈍い輝きが人を喜ばせることは決してない。
自分が作りたいのが後者のプログラムであり、前者のそれでないということだけは、今はっきりとしている。