2010/01/02

精神疾患擬人化本

会社で働いていると事あるごとに計画を立てることの重要さを痛感させられるが、そんなものは無いほうが上手くいくことだってある。面白い本との出逢いなどはその代表例で、Amazonで目当ての本を一本釣りするのもいいけれど、当てもなく本屋をぶらついてる時に限って良質な本を発見したりするものだ。予想外のものこそ面白いのだから、面白いモノが計画の外側にあるのは当然のことではないか。

昨年末に参加したコミックマーケットについてもそれは同じだ。参加者の中にはカタログで事前に巡回するサークルのアタリをつけておいてそれらを回りきったら早々と会場を後にする、という計画的な人もいるようだが、コミケで事前に計画などしてどうする。無計画に時間いっぱいまで会場を彷徨い歩く中での(怪しげな)本との一期一会こそがコミケの醍醐味ではないか。

というわけで、今回もそんな「計画の外側」に何冊か面白い本を見つけたが、その中で色々と考えさせられたのが以下。



タイトルは『精神疾患擬人化本』。発行サークルは「鴨屋」。
擬人化(というか萌えキャラ化)モノこそ最近では多く目にするようになったけれど、確かに「精神病」はまだ擬人化されてないかも。まあ「精神病患者」自体は擬人化する前から人間なんだけど。



内容的には一般的な擬人化本と同じような構成になっており、病気を擬人化したイラストとその内容についての簡単な解説のセットが大部分を占める。黄色い救急車の都市伝説についての考察や、詐病と「ミュンヒハウゼン症候群」の違いや、「対人恐怖症」は日本人に固有の「文化依存症候群」であり、英語表記も「Taijin kyofusho symptoms (TKS)」となっているといったことはこの本で初めて知れてなかなか面白かった。正気と狂気の間がグラデーションになっており、精神病の世界は健常者のそれと陸続きになっていることを指摘することも忘れていない。
精神病については色々と思うところがあるが、文章にまとめられるだけの知識がまだないのでまたの機会に。